Googleが検索エンジンの評価に用いているGoogle検索品質評価ガイドラインが2018年7月20日に更新されました。2017年7月の更新以来約1年ぶりとなる今回のアップデート、ウェブマーケティングやSEOに携わる人達にとっては気になるところですが、今のところ日本語でまとまった記事はあまり見られません(ありましたら教えてください)。
そこで、辻さんがツイッターで挙げていた英語の記事をもとに重要なポイント(と自分が思うところ)をまとめてみます。
ユーザーに対する「善意」というのは、評価の基準として考えるには曖昧でわかりづらいようにも思えます。コンテンツの目的は正確には作成者本人にしかわからないはずだからです。
しかし、Googleが今回のアップデートでユーザーに対する「善意」を持ち込んだのには相応の背景があります。Googleは以前から様々なウェブスパムに対応してきましたが、一方でここ数年、信頼性の低い医療情報や、「ホロコーストはなかった」とするようなフェイクニュース・陰謀論、特定の人物や団体へのヘイトを広めるような情報などがしばしば検索上位に表示され、社会的な批判を受けてきました。そこで、こうした次々と出てくる問題に対応するためにもGoogleはより一般的な規定を必要としたと考えられます。
このような事情もあって、今回の改訂版のガイドラインでは、ユーザーに対する「善意」をページの評価の大前提に置いています。Google検索品質評価ガイドラインでは、ページの品質を「最高」・「高い」・「中間的」・「低い」・「最低」の大きく5段階(厳密には更に細かく9段階)に分けていますが、最初にユーザーに対する「善意」があるかどうかをチェックして、それがないとみなされる場合には無条件で「最低」の評価になるとしています('searchqualityevaluatorguidelines.pdf', p18)。
「コンテンツを作るには、まずユーザーに対して役に立とうという善意がなければならない」―これがGoogle検索品質評価ガイドラインで新たに強調された大原則です。
そのため、例えばBuzzfeedのように、記事一つ一つに執筆者名が入る場合などは執筆者の評判も今後重要になってきます。一方で、朝日新聞デジタルのように記事別で特に執筆者の名前を載せていない場合などは、「朝日新聞がそのコンテンツの作成者」であるとみなされ、今まで通りサイトの評判だけが考慮に入れられると考えられます。
しかし、Googleは以前からE-A-T(Expertise=専門性・Authority=権威性・Trustworthiness=信頼性)を重視しています。今回コンテンツ作成者の評判も取り入れたことをきっかけに、今後より「誰が作ったのか?」を重視するようになり、ページ単位で責任者を明示することが評価される方向になっていく可能性も考えられます(ユーザーにとっても、「誰が作ったコンテンツか」までわかった方が良いという側面もあります)。
Google検索結果上の表示に用いられる(ことの多い)ページのタイトル部分ですが、これがより目立って興味をそそるものになれば、よりクリックされサイト訪問者もより多くなります。そこでクリック率を上げるために「タイトルを目立たせる」といった改修をサイト担当者が実施することになりますが、これをやりすぎると、ページ内容にそぐわない単なる煽り文句になる可能性もあります。
このようなことが広まっていくと、ユーザーに無駄にクリックさせることになり、最終的にユーザーの検索体験を損ねることにもなりかねません。このため、今回のガイドラインではそのようなタイトルを低く評価する改訂を行なっています。
ページのタイトルは煽りではなく、ユーザーがコンテンツ内容を理解する助けになるような記述を心がける必要があります。
さらに以上の特徴がより多く当てはまる場合や当てはまる程度が大きい場合、そもそもユーザーに対する「善意」がない(ユーザーを騙そうとするなど)場合などには最低品質のコンテンツという評価になります。
Google検索品質評価ガイドラインについてより詳しく知りたい方は、以下に参考資料を載せておりますので、一度お読みになることをお勧めします。
そこで、辻さんがツイッターで挙げていた英語の記事をもとに重要なポイント(と自分が思うところ)をまとめてみます。
Googleの検索結果をチェック・評価する人向けのガイドラインが更新された件。この記事が一番まとまった情報ですね。SEO専門の人は必読でしょうが、英語長文なので多くの人には最後のまとめ「Final Thoughts」部分だけGoogle翻訳で読む感じでいいかなと。 https://t.co/z8IP2D3jMp— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2018年7月25日
大前提として強調されたユーザーに対する「善意」
今回のガイドラインのアップデートで特に強調されたのが"Beneficial Purpose"です。"Beneficial"は「有益な」、"Purpose"は「目的」という意味ですから、そのまま訳すと「有益な目的」となりますが、こなれないのでここではユーザーに対する「善意」と訳して説明します。ユーザーに対する「善意」というのは、評価の基準として考えるには曖昧でわかりづらいようにも思えます。コンテンツの目的は正確には作成者本人にしかわからないはずだからです。
しかし、Googleが今回のアップデートでユーザーに対する「善意」を持ち込んだのには相応の背景があります。Googleは以前から様々なウェブスパムに対応してきましたが、一方でここ数年、信頼性の低い医療情報や、「ホロコーストはなかった」とするようなフェイクニュース・陰謀論、特定の人物や団体へのヘイトを広めるような情報などがしばしば検索上位に表示され、社会的な批判を受けてきました。そこで、こうした次々と出てくる問題に対応するためにもGoogleはより一般的な規定を必要としたと考えられます。
このような事情もあって、今回の改訂版のガイドラインでは、ユーザーに対する「善意」をページの評価の大前提に置いています。Google検索品質評価ガイドラインでは、ページの品質を「最高」・「高い」・「中間的」・「低い」・「最低」の大きく5段階(厳密には更に細かく9段階)に分けていますが、最初にユーザーに対する「善意」があるかどうかをチェックして、それがないとみなされる場合には無条件で「最低」の評価になるとしています('searchqualityevaluatorguidelines.pdf', p18)。
「コンテンツを作るには、まずユーザーに対して役に立とうという善意がなければならない」―これがGoogle検索品質評価ガイドラインで新たに強調された大原則です。
ページ単位でのコンテンツ作成者の評判も重要に
今まではGoogleは個別のページの評価に当たって、サイトの評判を考慮してきましたが、今回の更新からは、サイトの評判に加えて"Creator"つまりコンテンツ作成者(執筆者)の評判も考慮に入れるようになりました。ただし、あくまでそのページの作成者がサイト全体の管理者と異なる場合です。そのため、例えばBuzzfeedのように、記事一つ一つに執筆者名が入る場合などは執筆者の評判も今後重要になってきます。一方で、朝日新聞デジタルのように記事別で特に執筆者の名前を載せていない場合などは、「朝日新聞がそのコンテンツの作成者」であるとみなされ、今まで通りサイトの評判だけが考慮に入れられると考えられます。
しかし、Googleは以前からE-A-T(Expertise=専門性・Authority=権威性・Trustworthiness=信頼性)を重視しています。今回コンテンツ作成者の評判も取り入れたことをきっかけに、今後より「誰が作ったのか?」を重視するようになり、ページ単位で責任者を明示することが評価される方向になっていく可能性も考えられます(ユーザーにとっても、「誰が作ったコンテンツか」までわかった方が良いという側面もあります)。
内容が伴っていない煽りタイトルはNG
今回の変更点としては上に挙げた2つ(ユーザーに対する「善意」の強調とコンテンツ作成者の評判の重視)が最も重要ですが、その他にもいくつか変更点があります。その1つがページのタイトルに関してです。Google検索結果上の表示に用いられる(ことの多い)ページのタイトル部分ですが、これがより目立って興味をそそるものになれば、よりクリックされサイト訪問者もより多くなります。そこでクリック率を上げるために「タイトルを目立たせる」といった改修をサイト担当者が実施することになりますが、これをやりすぎると、ページ内容にそぐわない単なる煽り文句になる可能性もあります。
このようなことが広まっていくと、ユーザーに無駄にクリックさせることになり、最終的にユーザーの検索体験を損ねることにもなりかねません。このため、今回のガイドラインではそのようなタイトルを低く評価する改訂を行なっています。
ページのタイトルは煽りではなく、ユーザーがコンテンツ内容を理解する助けになるような記述を心がける必要があります。
結局、Googleの考える良いコンテンツとは?
以上のような更新があった上で、現時点でGoogleの考える質の良いコンテンツとは結局どのようなものなのでしょうか?まず挙げられるのは、ユーザーに対する「善意」があることと、その「善意」で意図していたことが上手く実現できユーザーの役に立っているコンテンツであること(同, p19)です。その他、以下のような特徴が高品質なコンテンツ/ページとして挙げられます。
- 高い専門性・権威性・信頼性(E-A-T)があること
- 高品質で満足のいく量のメインコンテンツであり、記述的もしくは役に立つタイトルがつけられていること
- 十分な量のウェブサイト情報、サイト責任者の情報があること(ショッピングやお金のやり取りが発生するページの場合は、カスタマーサービスに関する十分な情報があること)
- ページのメインコンテンツの責任者であるウェブサイトに関する良い評判があること。サイトの責任者と該当ページのコンテンツの作成者が異なる場合は、作成者に関する良い評判があること
(同, p19)
悪いコンテンツとは?
一方で、Googleの考える悪い(質の低い)コンテンツとしては、以下のような特徴が挙げられます。
- 専門性・権威性・信頼性の水準が不十分
- メインコンテンツの質が低い
- ページの目的に対して、メインコンテンツの量が不十分
- メインコンテンツのタイトルが誇張されていたりショッキングなものになっている
- 広告や補助コンテンツが邪魔でメインコンテンツに集中できない
- ページの目的に対して、ウェブサイトの情報やメインコンテンツ作成者の情報量が不十分である(かつ匿名にしておくべき理由もない)
- ウェブサイトやメインコンテンツ作成者に関するやや悪い評判がある
(同, p31)
さらに以上の特徴がより多く当てはまる場合や当てはまる程度が大きい場合、そもそもユーザーに対する「善意」がない(ユーザーを騙そうとするなど)場合などには最低品質のコンテンツという評価になります。
まとめ
今回参考にしたTheSEMPostの記事にある通り、今回の検索品質評価ガイドラインはユーザーに対する「善意」の強調など、注目すべき点がいくつかありました。コンテンツ制作やSEOに携わる方は、改めて「このページ/サイトはユーザーにとってどのように役に立っているのだろうか」などの自問を通して、より質の高いコンテンツ制作に注力していくことが求められます。Google検索品質評価ガイドラインについてより詳しく知りたい方は、以下に参考資料を載せておりますので、一度お読みになることをお勧めします。
- 'Google Search Quality Rater Guidelines Updated: Beneficial Purpose, Creator Reputation & More' TheSEOPost, 2018/7/24
- 'searchqualityevaluatorguidelines.pdf' Google, 2018/7/20
- 「検索品質評価ガイドライン アイレップ私訳版」 アイレップ, 2016年3月版
- 「Googleの検索品質評価ガイドラインが大幅改定、高品質サイトに求められるのは「E-A-T」」 海外SEO情報ブログ, 2014年7月11日
- 「Google検索品質評価ガイドラインで新たに追加された“YMYL”とは」 海外SEO情報ブログ, 2013年11月20日