あなたにとってお金が最も大切なものではない理由

突然ですが、あなたにとって最も大切なものは何ですか?

様々な答えがあると思います。それは自分に関することだったり、家族や友人であったり、恋人であったり、あるいは世界平和や貧困をなくすことであったりします。

中には、「最も大切なものはお金だ」と答える人もいます。しかし、その考えをよく吟味してみると、本当はもっと別のことが大切である可能性が浮かび上がってきます。

実は、「お金が最も大切なものではない」ということは、私は数学の証明のように明らかにしていくことが可能だと思っています。以下でその説明をしていきます。

準備はいいですか?ではいきましょう。



「目的>手段」の原則

まず前提として押さえておくべきは、「目的は手段より大切である」という、「目的>手段」の原則です。

何かの試験で合格するために参考書で勉強するという場合、「試験での合格」が目的で、「参考書での勉強」が手段となります。この場合明らかですが、「試験での合格」の方が「参考書での勉強」よりも大切なことになります。

もし「参考書での勉強」よりも目的を達成するために良い手段があったとすれば、今の手段は捨ててより良い手段を選ぼうとするでしょう。

この例に限らず、手段は目的を達成するために存在します。そのため、常に目的の方が手段よりも大切であるといえます。


お金との2通りの関わり方

続いて、お金に対して人がどう関わるかについて整理します。「お金を人はどうするか」ということで考えると大きく次の2通りがあります。

  1. 何かの代わりにお金を得る
  2. お金を使って何かを得る

これに関しては特に異論の余地はないと思います。

そのため、お金が人にとって最も大切である場合には、この2つの関係のうちの少なくとも1つの関係において最も大切ということになります。

それでは、この2つの関係それぞれにおいて、本当にお金が最も大切といえるかどうか検証していきます。


「何かの代わりにお金を得る」場合

労働や商品を提供する代わりにお金を得る、といった場合、労働や商品は手段でありお金が目的になっていると説明できます。それでは「お金が最も大切なのか」というと、さらに下記の場合を考えてみる必要があるでしょう。

「大量のお金を得たがその後使うことができない」場合

例えば無人島に大量のお金が保管されて眠っているとしましょう。あなたはその無人島に行ってその大金を得ることができます。しかし、無人島には入ることはできても出ることはできず、その後の一生をずっと無人島で暮らすことになります。

この場合ではあなたにとって「最も大切なお金」を得ることはできていますが、あなたはこの状況を良しとするでしょうか?

また別の例を考えてみましょう。あなたは大量のお金を得ましたが、得た途端に通貨が突如代わり、そのお金は全く使えなくなります。この場合でもあなたはそれを良しとするでしょうか?

きっとあなたは、これは良くないと考えることでしょう(あなたが熱烈な硬貨や紙幣コレクターで、大量の硬貨や紙幣を手に入れられればその瞬間死んでも良いと思っているのであれば別ですが)。

だとすれば、単にお金を得ることが最も大切なことにはならず、もしお金が最も大切だとしても、それはお金を得た後に「使うこと」においてであるということになります。


「お金を使って何かを得る」場合

では次にお金を使って何かを得る場合を考えます。

お金の使い道は実に様々です。食べ物・洋服・住宅といった生活に必須のものから旅行のチケットや嗜好品、その他様々なものがお金を通じて手に入ります。

また、雇用や広告、政治活動に見られるように、お金は他人の行動を自分の意に沿うように変えさせるためにも使われます。

しかし、どのようなことにお金を使うにしても、「お金」が手段であり、「お金を通じて得られる何か」が目的である、ということには変わりありません。

そのため「目的>手段」の原則から、「お金」は最も大切なものではなく、「お金によって得られる何か」がより大切であるといえます。


まとめ

以上をまとめると、お金はそれを得る場合においても、使う場合においても最も大切なものではなく、「お金は最も大切なものではない」ということが明らかに導き出せます。

あなたにとってお金が最も大切でない理由、納得できたでしょうか?

最後に、私の頭の中で最近繰り返し浮かんでいる言葉を共有して終わりにしたいと思います。

「お金が最も大切だと思う人はお金に動かされる。お金よりも大切なことを知っている人はお金を動かす。」